正式名称は興文館東海林書店で、増田城主・土肥家の家老を勤めていた当主が明治十八年に書店を開業したのが始まりと伝えられています。江戸時代以前より増田に居を構えている由緒ある家系で、その家屋は国登録有形文化財に登録されております。
東海林書店は増田町に住む人ならば、誰もが一度はお世話になったと思われる書店で、長らく町の本屋さんとして人々に親しまれていました。
最盛期には、増田町には三店ほどの書店がありましたが、今では東海林書店が最古にして、最後となった書店です。
玄関から内蔵へと続く通りの脇には、緑の中庭が広がっています。色とりどりの鉢植えの花とのコントラストが美しいです。
店主さんの話では、この庭は冬場の捨雪にも役立つとの事。
母屋の最奥にある内蔵。建造されたのは明治二年で、江戸時代に着工されたそうです。歴史的に貴重な厠と共に国登録有形文化財に指定されております。
黒漆喰仕上げの内蔵は、朱に塗られた鞘に覆われ重厚な佇まいで鎮座します。
東海林書店は増田では数少ない入母屋造り平入り(主に格式高い建物用)の住居で、重伝建の中でも特に目立ちます。