さるはんない幻灯

幽玄ゆうげんいざなう道灯り

 増田町の最奥に位置する狙半内さるはんない地区。狙半内とはアイヌ語のサルパナイが語源で「沢の上流にある葦原あしはら」という意味。
 その名の通り自然豊かな狙半内地区では、2004年から厳寒の頃に「幻灯げんとう」という行事が行われています。

 「幻灯」は川口集落から滝ノ下集落まで続く道路の雪壁に、十数キロメートルにわたって小さな雪洞が掘られ、夜にはろうそくの火が灯されるイベント。
 やさしく揺れる光が道すがらを照らし、あまりに幻想的なその光景は、一度見たら忘れられないほどの感動を与えてくれるでしょう。それに加え、狙半内地区の「川口」「小栗山こぐりやま」「中村」「火石田ひいしだ」「上畑かみはた」「滝ノ下」の六つの集落には雪像やお堂が作られ、観光客に甘酒や豚汁など手作りの料理が振舞われます。

人々とのふれあいも醍醐味だいごみ

 各集落では地域住民の方々のお話を聞いたり、振舞いを受けたりと、手作りイベントのほのぼのとした温かさに触れる事ができます。この人々とのふれあいも「幻灯」の楽しみの一つで、身も心も温かくなるでしょう。

 ともすれば心まで雪深く閉ざされてしまいがちな東北の厳冬げんとう。「さるはんない幻灯」は二日間だけの開催ですが、きっと凍った心まで優しく溶かしてくれて、春までもう一息頑張ろうと思えるようなイベントです。皆さんもぜひ「幻灯」を訪れて、冬の夜の感動を味わってみて下さい。